現実は小説よりも奇なり~「天空の蜂」を読み返して~

 3年くらい前に、出張先の山形で買った東野圭吾著「天空の蜂」を読み返してます。裏表紙にあるあらすじには、「奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子炉区発電所の真上。日本国民全てを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料がつきるとき・・・。」となっています。

 

 そう、原子力発電所を題材としたサイエンスミステリーです。私は福島第一原発事故が起きた時、真っ先にこの小説のことを思い出しました。そして事故から1年たった今、また読み返しています。

 

 読み進めていくと、原発を設置している県の知事が、脅威にさらされた原発近くに住む住民に、避難指示を出すかどうかという議論をしているくだりで、つぎのようなセリフが出てきます。

「地元から問い合わせがあるだろうが、避難の必要があるなんてことは、軽率にいわんでくれよ。今ここであわてて避難させたりしたら、原発の安全性を自ら否定することになるんだからな」

 このセリフ、なんだか聞いたことがあるような・・・。これ以外にも今回の事故と2重写しになるような描写が沢山出てきます。

 

 さすが理系出身の東野だけあって、科学的な裏付けもしっかりできているように思います。結構分厚い本ですが、福島第一原発事故や原子力政策について考えるうえで、補助線となりうる作品でしょう。

 

 ちなみに、小説のなかでテロリスト側が、日本の全原子力発電所をただちに停止しろと要求し、政府側の人間はそんな無茶なことできるはずがない!とさけんでいます。が、今年の5月には全原子力発電所が停止予定です。

 

現実は小説よりも奇なり。